光のもとでⅠ
「その勢いで翠葉に抱きつくな。翠葉が折れる」
 海斗のバカ……。
 でも、反応は見られた。
 今、海斗の制止がなければ、間違いなく抱きつかれて顔をしかめたことだろう。
 そうすれば、その場で説明が可能だったというのに……。
 翠葉にとっては余計なことではなかったかもしれない。でも、のちのことを考えれば、今はスルーするべきだったと思う。
 まぁ、仕方ないわね。
 あとで何かしら機会を設ければいいだけのこと。
 そのあとの会話で、翠葉が少しずつ体重を増やすことを目標にしていることや、病院の先生に言われたことを話しているのを見て、一学期とは明らかに変わっていると思えた。
 自分の体調のことを自分の言葉で話し伝えている。
 大きな進歩だ。
 きっとうちのクラスだって少しは貢献している。
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