光のもとでⅠ
 私はストレートよりも似合っていると思う。
 そう思ったのは私だけではないようだ。
 斜め後ろあたりから理一の声がする。
「ストレートよりも感じが柔らかくていいじゃん」と。
 香乃が誰にでもなく、「本当に?」と訊けば、すぐ目の前にいた佐野が、
「うん、似合ってると思う」
 途端に香乃が赤面する。
 あら……ここにも恋する乙女がいたのね。
 人を見ながら思う。
 みんなの恋が実ればいいのに、と。
 でも、そんなうまくはいかない。
 だから、自分の恋が実った幸せを噛みしめるように口を閉じた。
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