光のもとでⅠ
 テラスへの廊下は三階から下りてくる二年で埋めつくされていた。
 それに比べて、という程度の比重だけれど、まだ空いているところがあるといえる一階への階段を選び先に進む。
 翠葉は前に進むごとに表情を強張らせていく。
 こういうのは言ってくれないのかしら……。
 外に出て、桜林館の入り口を見た瞬間に翠葉の足が竦んだ。
 まだ言ってくれない……。こんな近くにいるのに。
 ――もうっっっ。
「翠葉こっち」
 折れそうな翠葉の腕を軽く掴んで列を外れた。
 この先の図書棟サイドからの入り口ならば教職員しか出入りしていないだろう。
 人ごみを抜けたところで腕を放し、
「言いなさいよっ」
 我慢できずに口調荒く言い放つと、翠葉は驚いた顔で私を見ていた。
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