光のもとでⅠ
 教室の後ろのドアの前に翠葉が立っていた。
 翠葉は「ただいま」と小さく返事をする。
「復活したかー?」
 先生が声をかければ、「はい」と高い声が発せられた。
 声量がなくても不思議と通る声。
 教室の隅を歩くように席まで戻ってくると、
「何か言っておくことないか?」
 と、先生が声をかける。
 そうね、このタイミングがいいわ。
 翠葉は椅子にかけた手を止め、
「あります」
「その場でいいから」
 翠葉は自分の席からクラスの中央に身体を向けた。
 緊張していると見て取れる表情。
 でも、クリアしておいたほうがいい。
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