光のもとでⅠ
 さっきまで私のかばん類が窓際に置いてあったわけで、それが移動されている。
 佐野は私が海斗を好きなことを知っているから……。
 毎日会っていても真正面に海斗がいると落ち着かないことを知っているから――だから、こういう席にしてくれた。
「ありがと」
 そう言って座ったけれど、なんだか気まずい。
 球技大会の一件以来、佐野は何も言ってこないけれど、態度というか、行動というか――そういう部分でいつも気持ちを感じている。
「好意」という感情を――佐野は無条件でくれる人だった。
 私は困ると思いつつ、その「好意」にも「優しさ」にも甘えていて……。
 甘えていることはわかっているけれど、だから、じゃぁ、どうしたらいいのかなんてわからない。
< 3,832 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop