光のもとでⅠ
「七倉、一歩踏み出してみたら? 推薦ってさ、推薦した人の期待も信頼もかかってると思うんだよね」
 相変わらずいいことを言う。
 佐野は香乃の気持ちに気づいているのかな。気づいていないのかな。
 ……たぶん、気づいてるよね。
 それでも普通にこうやって話しかけるし背中も押す。
 なんだ、すごくいい男じゃん。
 いや、イイヤツっていうのは知ってたんだけど。
 案外面倒見がいいのとか、人のフォローがうまいのとか、知ってたけどさ……改めて考えることがなかっただけ。
 ずっと香乃と希和の会話も耳から聞こえていて頭には入ってきていたはずなの。
 なのに、目の前の空太に遅れを取った自分が信じられない……。
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