光のもとでⅠ
 それでも、幸倉の家に説得しに行ったときと比べれば顔色も良くなった。
 けれども、人がぶつかっただけで折れそうなほどに細い……。
 食べさせることを考えるけれど、翠の胃は小さいし、無理して一気に食べさせれば血圧が下がる。
 ――違う。
 そんなことは姉さんや相馬さんに任せておけばいい。
 俺がフォローするのはそういう部分じゃない。
 俺はまだ医者でもなんでもない――。

 徐々に周りの音が聞こえ始める。
 その程度には落ち着きを取り戻した。
 何かに集中したくて、さっきから開いたままにしてある生徒会のメールボックスを見た。
 しかし、メールボックスには一件のメールもない。
 そんなことがあるわけ――ある……。
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