光のもとでⅠ
 就職先は間違いなく自分の親の会社だし……。
 ただ、受験生というだけで塾に行くことになった。
 うちは自営業で両親共に忙しく、どこかで勉強を見てもらう環境があったほうが安心、という安易な考えのもと。
 勝手に決められ、「いってらっしゃい」と言われたときこそ、「えええええっ!?」と言いはしたけれど、その塾に行かなければ優太とは出逢わなかったし、藤宮の生徒にもなりはしなかっただろう。

 優太は中一からその塾に通っていたという。
 私たちの通う塾はふたつの中学の中間にあることから、どっちの生徒も通ってくる塾だった。
 そして、クラス式ではなくマンツーマンで教える個別塾だったのだ。
 机がひとつひとつパテーションで区切られており、ひとりの先生が複数人の生徒を受け持って順番に回る。
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