光のもとでⅠ
「うん……」
「それはさ、この公式じゃなくてこっち」
 彼は自分のシャーペンでカリカリと問題集の端に公式を書き始めた。
 机の前にしゃがみこみ、
「基本はこれと同じなんだけど、ここにこれがつくときはたいてい引っ掛け問題」
 前に解いていた問題と比較しながらわかりやすく教えてくれた。
「わかった?」
「すごくわかりやすかった。ありがとう!」
「どういたしまして。お互い受験がんばろうね」
 そう言って去っていったのだ。
 その日、授業が終わってから探したけれど、見つからなかった。
 先生に訊いても誰のことかはわからず、名前を知ることすらできなかった。
 大きな塾ではないのに、なんで見つけられなかったかな……。
 それから数日後、塾の駐輪場で偶然会った。
< 3,896 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop