光のもとでⅠ
「俺はいつも言われてからすぐに駆けつけてたんだけど、そのときにはたいてい取っ組み合いっぽくなってたよね」
 優太が思い出すかのように口にする
「でも、怪我人は出なかったでしょ?」
 俺が訊くと、ふたりそろって首を縦に振った。
「思っていることを溜め込んだままにしておくと何かやらかすからさ、とりあえずは言い合いさせるんだ。それが一方的な場合は早めに対応するわけだけど、嵐子ちゃんの場合は応戦できてたんじゃないかな?」
 訊けば、「ははは」と乾いた笑いが返ってきた。
「でも、翠葉ちゃんはそういう子じゃないわ」
 茜先輩が心配そうに眉をひそめた。
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