光のもとでⅠ
「そういうときはそういうときですぐに動けるように待機している人間がいるはずだから、そこまで心配しなくて大丈夫ですよ」
「ま、何事もないのが一番だけどね」
 久先輩は心配しつつも、やっぱりなるようにしからない、という結論にたどり着いたようだ。
 ほかの面々は複雑な心境拭えず、って感じかな。
「まぁさ、近くに海斗も桃ちゃんも千里もいるわけだし、少し気をつけてあげればいいよ」
 そう言うと、一年の三人が神妙そうに頷いた。
「どうしたの?」
 っ――!?
 久先輩の少し明るめの声に背後を振り向けば、そこには翠葉ちゃんが立っていた。
「資料見ただけじゃ私は覚えられないので、筆記用具を取りにきました」
 苦笑しながら答えるけれど、今の会話を聞いていたわけではなさそうだ。
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