光のもとでⅠ
 聞けば、夏休み中、俺らは全然お見舞いに行かせてもらえなかったのに、司だけは毎日のように通っていたらしい。
 ずるいとは思うものの、体調が悪くても、翠葉が司だけは受け入れてたってことになるんだよな……。
 二学期が始まってからはふたりの間に何か見えないつながりがあるようにすら思えた。
 翠葉の気持ちは今どこにあるんだろう……。
 秋兄とも普通に話してはいるみたいだけど、なんていうか「普通すぎる」っていうのが感想。
 秋兄を好きだったときとは全然違う。
 そんな違い……。
「そういやさ、そんなふたりを見て微笑ましいと思っている人間以外っていうのがいるみたいな?」
 佐野がポロリと口にした。
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