光のもとでⅠ
「態度に出しても口でそれっぽいことを言っても気づかないから?」
「えっ!? 何、あれだけ態度に出していて、翠葉ちゃん全然気づいてないの? それ、あり得なくないっ!?」
 いや、あり得るから……。
「なんだったら、俺がひとり気づかないほうに賭けてもいいけど?」
 ばれるならとっくにばれていていいはずだ。
 周りは気づいていて当の本人、翠だけが気づいていないというのも変な話だし、いい加減慣れた。
 その状況にも順応しすぎていて、態度に出す出さないなんてもう考えていなかった。
 そうだな……。
「期間は紅葉祭が終わるまで」
 ふたりに笑みを向ければ、
「負け戦っぽいけど乗ってやるよ」
 と、朝陽に言われた。
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