光のもとでⅠ
 それに俺の呼び名の件も入っているのだろうか。
 試合の挨拶が終わると、翠のもとへと真っ直ぐ向かった。
「応援の声、聞こえなかったけど?」
 笑顔を添えて訊いてみる。と、
「……えと、お願いされてないし?」
 翠の目が若干泳いだ。
 確かに、今回は頼んでなどいない。
 そんなこと、わざわざ言わなくても応援してもらえる程度には距離を縮めたつもりでいたからだ。
 畳み掛けるように、
「決勝戦、また猿のクラスとだからそのときは応援してくれるよね?」
 笑顔でごり押しすれば表情が固まる。
 固まってるというよりは苦笑。返事に困ってる顔。
 それでも翠は言わないだろう。
 呼び出されたことも、風紀委員に言われたことも。
 なら、こっちから切り込むまでだ。
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