光のもとでⅠ
「見かけはね。それ、GPS搭載のナースコールみたいなもの」
「……は?」
「やばいと思ったらすぐに押せ」
「意味がわからない」
「……呼び出されてやばいと思ったら押せと言ってる。そしたら、俺か生徒会メンバー、風紀委員、警備員、誰かしらが駆けつけるから」
 我ながら言っていて嫌気が差す。
 駆けつける人間の多さに……。
「……ちょっと待って。警戒レベルが高すぎやしませんか?」
 小動物の目が俺を見上げる。
「うるさい、とにかく持ってろっ」
 そう言って、その場を立ち去った。

 俺が――自分の感情の起伏についていけない。
 呼び出しがどうのとかではなく、名前の呼び方が変わることにどうしてこんなにも執着しているのとか――。
 理由なんてわかりきっている。
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