光のもとでⅠ
 やる作業といったら、最終集計をもとに賞状へクラス名を書くことのみ。
 書記は海斗と嵐だが、ふたりは賞状を任せられる字は書けない。
 よって、必然的に筆の扱いに慣れている人間が抜擢される。
 それがどうして自分と会長なのかは謎だけど。
 俺は「道」とつくものとの相性がいいと思う。
 弓道しかり、剣道、合気道、書道、茶道、華道――一通りやってきた。
 そして、どれも嫌いではなかった。
 背筋を伸ばし、流れあるひとつひとつの動作に集中することは俺の性に合っている。
 まとまりのない自分の思考を追いやるのにはちょうど良かった。
 が、そうはさせてもらえないらしい。
 少し離れた位置から、嵐と優太、翠の三人が話している内容が聞こえてきてどうにも集中できない。
「修行不足」の四文字が頭をちらつく。
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