光のもとでⅠ
 その代わり――俺はありのままの翠を受け入れる。
 それではいけないのだろうか……。
 恋愛というものがよくわからない。
 人を好きになることや、自分以外の誰かを大切に思う気持ちはわかったつもりだけど、それが「恋愛」と言われると理解しているとは言いがたい。
 だからといって、それを訊ける人間もいなければ、訊ける人間でもない――。
 そんな日々が続いていたところ、
「藤宮くん、いいところにいたわ」
 図書棟へ行こうと教室を出たところで青木に呼び止められた。
「お姫様、また呼び出されてるわよ~。これで十一回目かしらね。今から私が行くんだけど、一緒にどう?」
 まるでそこまで散歩に、っていうノリ。
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