光のもとでⅠ
 どうして翠が相手だとこうもうまく物事が運ばない?
「プール裏だから、急いで先回りするわよっ!」
 急かさせるままに移動した。

 学校の周りには何かしら木が植わっていて、この時期はどこも緑が生い茂っている。
 あとひと月もすれば紅葉する木も出てくるだろう。
 ちょうど、紅葉祭の頃には葉が色づき始める。
 青木は数歩の助走で木の枝に飛び乗った。
 猿――会長とは違う意味で立派な猿だと思う。
 俺はただその木の陰に立っただけ。
 俺の身幅を隠すくらいの太い木で、その木の前にはツツジが植わっている。
 ここに人がいると思って見ない限り、見つかることはないだろう。
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