光のもとでⅠ
 翠……まさか自分が消えたらいいとか、またそんなことを思っているわけじゃないよな……?
 四月に抱いた不安が心によみがえる。
「風紀委員の青木先輩」
 口にしたのは呼び出した女子。
「初めてお目にかかるわね、お姫様。風紀委員の二年、青木沙耶よ」
「……一年の御園生翠葉です」
「警護対象の名前くらいわかってるわ。でも……具合が悪いところを見せてみろと言われて、命を懸けるバカだとは思わなかった」
 青木、今なら何を言っても許す。
「私、これで失礼します」
 直後、一人分の足音が遠ざかっていく。
 もう出ていっても問題ないだろう……。
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