光のもとでⅠ
 知っていることを言葉にしたら、周りは理解してくれるのだろうか。
 噂は訂正されるのだろうか。
「噂じゃ拒食症って話だったけど、そうじゃないんだ」
 と、指宿先輩が言葉をもらした。
「夏休み明けに見たときびっくりしたの。前も十分細かったけど、始業式に見たときは折れるんじゃないかと思ったわ」
「好きであんなに細いわけじゃない」
 俺が言えるのはここまでだ。
 結局、俺は何もできない……。
 呼び出されても助けは求めてもらえないし、呼び出されたことすら話してはもらえない。
 頼られていないわけではなく、翠はその人間たちと話すことに何か意味を見出しているようだった。
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