光のもとでⅠ
「それ、歴とした個人情報なんだがな……。ま、おまえさんだからよしとしよう。内緒だからな? 御曹司」
 相馬さんは悪そうな笑みを作り、翠の病室へと消えた。
 発作のあと、翠が目を覚ますときは誰かが側にいることが多い。
 それは周りが気をつけてそうしている。
 発作を起こしたあとに病院で覚醒する際、去年の出来事にフラッシュバックすることがあるのだとか。
 公園で倒れて病院に運ばれてきた去年、長期間ICUにいたという。
 本人もそのことはわかっていて、だから、目を覚ます前には必ずどんな状況で今自分がどこにいるのか、それらを頭の中でトレースしてから目を開けるようにしていると言っていた。
 夏休み中、本当に色んなことを知った。
 翠にとって、去年という一年がどれほど過酷なものだったのか、すべて翠が話してくれたこと。
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