光のもとでⅠ
 こんな伝え方をしたって何も伝わらないし、何も変わらない。
 わかっているけど、それができない。
「翠がいないと困る人間たち――」
「え……?」
「生徒会のメンバーが困るって」
「……でも、私が抜けてもそんなに大きな穴は――」
「開くんだよ」
 俺の中には……。
「うちの生徒会で俺に文句を言えるのは翠くらいだから。俺への文句は翠に言わせるっていうのがメンバーの常套手段」
 翠の涙が止まり、こちらをじっと見る。
 その視線にもだいぶ耐性ができたとは思うけど、まだ心臓の強化が足りない気がした。
「だから、翠がいないと困る人間はいる」
 今の俺にはこの言葉が精一杯――。
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