光のもとでⅠ
 放課後になれば図書室に集るのがこの期間の日課。
 そして、最近は図書棟までのルートで呼び止められることが異様に多い。
 大半が紅葉祭に絡むことだから、無下にはできない。
 そうやって答えているとえらく不躾な視線を感じた。
 今現在、目の前にいて俺にクラス会計の仕方を訊きにきている女。
「何……」
 訊けばすごく驚いた顔をしている。
「いえ、あの……本当に話を訊いてくれるんだなと思って……」
 なんだそれ……。
「わからないことを訊きに来られて、俺が話を聞かなかったら解決しないと思うけど?」
「そうなんだけど……なんていうか、藤宮くんって話しかけても絶対に無視する人だと思っていたの」
 俺、そんなことした記憶はないんだけど……。
< 4,061 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop