光のもとでⅠ
 ただ、そう思う割には俺も会長と呼んでいる。
 会長とは付き合いが長い分、自堕落な関係にならないように――それだけの理由。
 漣にしても会長にしても優太にしても、
「呼び方にこだわりがあるのかないのかわからない」
 やっぱり翠の思考回路はよくわからない。
 わかりたいと思うけど、訊いてもわからないこともある。
 これ以上突っ込んで訊いたら本当の尋問だろうか。
「だから先に言ったじゃない。簡潔には話せないよって……」
 でも、そこで放り投げることができない。諦められない。
「そうだけど……。俺の名前は?」
 わかりたいと思う。
 翠を知りたいと思う自分を抑えられない。
「ツカサの名前?」
 翠がこちらを向く。
 でも、できれば今の自分は見られたくない。
 きっと情けない顔をしているだろうから。
 こんな話しになるなら、携帯で話せば良かったんじゃないか、と思い始めている自分がいるくらいには。
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