光のもとでⅠ
「ツカサは女の子が苦手って言ってたでしょう? それに、あれこれ噂されるのも自分のことを詮索されるのも嫌だよね? でも、それ以外なら? ……たとえば、学校行事に関することで話しかけられたのなら無視なんてしないでしょう?」
 あぁ、なんとなくだけど、少しわかった気がした。
 翠が呼び出しに応じてどんな話をしているのか、とか何を思ってそんな話をしているのか、とか。
 だから、最近図書棟に行くまでに話しかけられる回数が多かったのか、とか。
 正直、話しかけられてそれに答えるのは面倒だと思う。
 でも、それが紅葉祭に関わるものなら答えに困ることはなし、自分のことを詮索されているわけではないから、ないがしろにはせずきちんと答えてきた。
 翠を呼び出す人間がそれで満足するというのなら、そのくらいは協力しようかと思う。
「翠、最後にひとつだけ……」
「何……?」
 一番訊きたくて、怖くて訊きたくないと思ったこと。
 今なら訊いても大丈夫な気がした。
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