光のもとでⅠ
 ブルーグレーのワンピースが涙に濡れて青い染みとなる。
 あぁ、そうか――。
 人が離れていくことを何よりも怖がっているのは翠なんだ。
 だから、翠から簡単に距離を置こうとするわけがない。
 そんな人間が学校をやめようとしていたと考えるだけでも想像を絶する。
 いや、そう考えていたとき、まだ翠の手の内には誰も入れていなかったのかもしれない。
 隣で蹲るように足を抱えている翠。
 ――また泣かせた。
「手、つないでもいい?」
 言われなくてもつないでいたと思う。
 この手を放したらいけない気がして……。
 つないでおかないといけない気がして――。
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