光のもとでⅠ
翠と初めて会った日。こんなふうに手をつなぐ日がくるとは思わなかった。
翠と手をつなぐ、というよりは、自分が誰かの手を取ることなどないと思っていたし、誰かに助けてもらいたいなどと思うことはなかった。
ただ、翠の側にたいという思いから少しはみ出してしまった自分の想い。
歌の歌詞は人の言葉であり、俺の言葉ではない。
けど、気持ちをこめて歌えば伝わるんだろうか……。
翠が歌う部分の歌詞に自分がかぶる。
俺は翠を傷つけたくない、困らせたくないと言いながら逃げてるのではないだろうか。
歌い終ると、茜先輩が満足そうに笑う。
「ふたりとも声の相性いいのね? これにはちょっとびっくり! 欲を言えば、翠葉ちゃんの声がもっと出るといいなぁ……。ま、このあたりは本番までがんばって練習して、どうにもならない部分はミキサーのほうで調整してもらおう」
歌い方に指摘が入るのかと思っていたけれど、そんなことはなく、翠とはもる部分は伴奏との兼ね合いでどのくらい溜めるとか、その程度のことだった。
翠と手をつなぐ、というよりは、自分が誰かの手を取ることなどないと思っていたし、誰かに助けてもらいたいなどと思うことはなかった。
ただ、翠の側にたいという思いから少しはみ出してしまった自分の想い。
歌の歌詞は人の言葉であり、俺の言葉ではない。
けど、気持ちをこめて歌えば伝わるんだろうか……。
翠が歌う部分の歌詞に自分がかぶる。
俺は翠を傷つけたくない、困らせたくないと言いながら逃げてるのではないだろうか。
歌い終ると、茜先輩が満足そうに笑う。
「ふたりとも声の相性いいのね? これにはちょっとびっくり! 欲を言えば、翠葉ちゃんの声がもっと出るといいなぁ……。ま、このあたりは本番までがんばって練習して、どうにもならない部分はミキサーのほうで調整してもらおう」
歌い方に指摘が入るのかと思っていたけれど、そんなことはなく、翠とはもる部分は伴奏との兼ね合いでどのくらい溜めるとか、その程度のことだった。