光のもとでⅠ
 今日のは……本音かと言われれば本音だ。
 雅さんに言われなければ考えもしなかったことだけれど、知ってしまったら考えずにはいられなかった。
 考えたら、どうしたらいいのかわからなくなるほどに不安になった。
 ――これを話せばいいのかな。
 さっき栞さんに言われたこと。
 答えを出すまでの過程をきちんと相手に伝えなくちゃいけないっていうのは、こういうこと……?
 ならば話してみよう。
「……雅さんに会わなければ難しいことは考えなかったかもしれません。でも、知ってしまったから――聞かなかったことにはできなかったし、考えずにはいられなかったし、すごく不安になりました」
「うん」
「でも、断ったときにお話したことは本心です。こんな状態の私は見られなくないです。見てほしくないです……。でも、どうしてか側にいてほしいと思う気持ちもあって、自分の気持ちなのに上手に折り合いがつけられない――」
「……そうだったんだね」
 秋斗さんは何を言うでもなく、私の話す言葉に耳を傾け受け止めてくれている気がした。
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