光のもとでⅠ
「先輩方……嵐子が去年の夏までどの高校を受けるつもりだったかまでは知りませんよね?」
 今度はふたり顔を見合わせる。
「鳴沢です。この高校よりも三ランクから四ランクしたの高校を受けるつもりでいました。半年でこの藤宮に受かるまでの偏差値になりました」
「あら……それはすごいことよ?」
「じゃぁさ、もう少しがんばってもらおうか? 生徒会役員が決まるのは中間考査と全国模試のあとなんだ。だから、そのふたつで上位二十位に入ってもらえれば問題なく引っ張れる」
「努力します」
「うん。君ってそういう人だよね? 現状で諦めるんじゃなくて、その先の努力をする人間。そういう人じゃないと司には付き合いきれないと思う」
 いったいどんな人間なんだ、と不安になりはしたものの、会ってみればそんなに癖のある人間だとは思わなかった。
 ただ、人にもものにも執着がない。
 ひどく淡白な人間ってだけだった。
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