光のもとでⅠ
 どんな人間なのかは知っていても、プライベートまでは知らない。
 学校以外というならば、道場での顔を知っている程度。
 人のプライベートなんてどうでもいいことだった。
 それを聞いても聞かなくても俺が困ることも得することもない。
 でも、最近になって気になりだしたことがある。
「ひとつだけ――」
「うん。俺と茜が付き合ってないのはなんでかってことでしょ?」
 先回りして尋ねられた。
「付き合ってる」「付き合ってない」「彼氏」「彼女」――そんなのは単なる言葉に過ぎない。
 あってもなくてもかまわないといえばかまわない。
 でも、このふたりはそういうことを公言しそうな性格なものを……とは思っていた。
 それに、会長の態度があからさまなのに対し、茜先輩の対応は不可解ともいえる。
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