光のもとでⅠ
 漣とはひとつ違いで腹違いの弟でもある。
 そのほかに兄が三人いるが、どれも父親が同じなだけで母親は別。
 つまり、茜先輩の父親は、五人の女性にそれぞれ子どもを産ませているのだ。
 そして、それら全員を認知しているという。
 噂なんてものを気にしない俺がなぜこんなことを知っているかというならば、茜先輩が勝手に話していったから。
 情報発信源が本人ならば、それを疑う必要などない。
「いっときは信じてもらえたんだけどな」
 会長は苦い笑みを浮かべる。
「今だって十分信頼されているように見えますけど」
「表面上はね。でも、俺の気持ちは届いてないと思う。信頼はされていると思うけど、信用されているかは微妙だな」
 そんなわけ――。
< 4,148 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop