光のもとでⅠ
 やっぱり、自分が何かを言える気はしない。
 ただ――。
「好きだと伝えても、伝わらないことがあるんですね」
 それだけがやるせないと思った。
「好き」と一言伝えれば気持ちが伝わるものだと思っていた自分が愚かに思えてくる。
「司、それはケースバイケース。茜と翠葉ちゃんは違う。家庭環境も自分を取り巻くものの一切が違う」
 それは確かにそうだが……。
「もしかしたら、俺の想いも届いているのかもしれない。ただ、ふたりの間に分厚い壁があるだけ。そうだな……ガラスとか透明のアクリルみたいな素材で、こっちの色とかそういうのは見えるのに、熱伝導するのにやたらめったら時間がかかるくらい分厚い、とか? だとしたらさ、その壁ぶっ壊して突破しないと男じゃないよね」
 そう言って笑った。
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