光のもとでⅠ
「彼女は翠葉ちゃんが心配なだけ。今日から秋斗先生と旅行なんでしょ? お兄さんとかお医者さんも一緒みたいだけど。それにヤキモキしてるんだよ」
なんだ……先日の俺と同じ、ただの八つ当たりか。
そんなの、直接翠か御園生さんに言えよ。
「……簾条、たぶん、秋兄はもう翠を傷つけるようなことはしない」
この場にいる人間には、こんな端的な話をしても簾条にしか伝わらない。
そこで根掘り葉掘り訊いてくるような人間たちでもない。
「そんなの、わからないじゃない……」
「いや、できない。できるわけがない」
「そうやって藤宮司は自分に言い聞かせているだけじゃないの?」
冷たい視線がこちらを向く。
そうじゃないとは言い切れない。
でも――。
なんだ……先日の俺と同じ、ただの八つ当たりか。
そんなの、直接翠か御園生さんに言えよ。
「……簾条、たぶん、秋兄はもう翠を傷つけるようなことはしない」
この場にいる人間には、こんな端的な話をしても簾条にしか伝わらない。
そこで根掘り葉掘り訊いてくるような人間たちでもない。
「そんなの、わからないじゃない……」
「いや、できない。できるわけがない」
「そうやって藤宮司は自分に言い聞かせているだけじゃないの?」
冷たい視線がこちらを向く。
そうじゃないとは言い切れない。
でも――。