光のもとでⅠ
「うん、それは俺たちにもわかるよ」
 優太が相槌を打てば、隣の朝陽も目の前に座る会長も頷いた。
「あんたが何に躊躇しているのか知らないけど、翠葉が秋斗先生を好きで、自分の気持ちを伝えたら困る、っていう図式なら、今は当てはまらない」
「でも、記憶が戻れば――」
 そんな可能性が低いことだってわかっている。
 だとしたら――俺は逃げているだけなのか?
「あんたバカ? 記憶がなくても時間は流れてるのよ。夏休み、翠葉のところにずっと通ってたんでしょ? その時間は翠葉の中にだってちゃんと流れてる。――ほんっと、バカらしい。私お先に失礼します」
 簾条の後ろ姿を目で追う。
「桃ちゃん言うね~!」
 会長がピュー、と口笛を吹いた。
「ああいうとこ、本当に格好いいよね」
 朝陽も簾条の後ろ姿を見ていたようだ。
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