光のもとでⅠ
「これ、なんの薬ですか?」
「軽い精神安定剤。筋弛緩の効果もある。飲みつけてない人間なら睡眠導入剤の役割くらい果たしてくれるさ」
 感謝したいようなしたくないような……。
「緊張の原因は考えなくてもわかるが、なるようにしかなんねーよ」
 そんなことはわかっているはずなんだけど……。
「一番困惑しているのは彼女だってわかってるんです。けど、自分がどう彼女に接したらいいのか――今の自分にはそれが一番難しい」
「……おまえのまんまでいいんじゃないか?」
 俺のまま……?
「おまえのことだ、好きな子には思い切り甘くありたいんだろ?」
「それはもう……」
「だから、それでいいんじゃないか?」
「それをやって歯止めが利かなくなって失敗してるんですよね……」
 思わず苦笑が混じる。
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