光のもとでⅠ
 何も考えず、促されるままにベッドへ上がりこみ、アルバムを見ていたっけか……。
 そして、無防備なお姫様はそのまま眠ってしまった。
 据え膳でも、あの寝顔が見られる距離や関係――たかだかそんなものが今なら幸せだったと思える。
 二回目は問題の日――。
 薬を飲んだ途端にとろんとして、そのまま静かに眠り始めた彼女。
 拓斗が来なければキスマークまでは付けずに済んだかなぁ……。
 でも、拓斗がいようがいまいが、何度も何度もキスをすることにはなっただろう。
 そして、唇を重ねれば重ねるほどにそれ以上を望んでしまった気がしなくもない。
 結局はどっちもどっちだったのか――。


 * * *


 ピピッ、ピピッ、ピピッ――。
 サイドテーブルにある携帯のアラームを止め身体を起こす。
 窓から外を見れば見事な秋晴れだった。
 寝室はブルーグレーの遮光カーテンがあるものの、もうずっとそれを閉めていない。
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