光のもとでⅠ
「部屋にいてもやることないんで、先に荷物積みます」
「こちらで承ります」
「いえ、これ以上俺からやること取り上げないでください」
 苦笑してエントランスを通り抜けた。
 トランクに荷物を積み込み、運転席におさまる。
 MP3プレーヤーをポケットから取り出すと、カーステに接続する。
 いくつもあるプレイリストからひとつをチョイス。
 それは、以前ブライトネスパレスへ行くときにかけていたプレイリストだった。
 帰り道では藤山デートのときにかけていたDIMENSIONのアルバムをかけようと思う。
 何か、少しでも思い出すきっかけになってくれるといい。
 思い出してもらったほうがいいのか悪いのか――。
 一緒に過ごした時間は幸せなものもあれば苦しいものもある。
 それは俺だけではなく彼女にも。
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