光のもとでⅠ
「少し、楽になったみたいだな」
「……え?」
「今日、ここに来たときはすごくつらそうな顔してた」
「あ……心配かけてごめんなさい」
「……秋兄と付き合うって聞いた」
「……そうなの」
「……念願叶ったり、だろ? ならもっと嬉しそうにすればいいものを」
先輩は片膝を立て、その膝を両手で抱えている。さらにはその腕に顎を預けていた。
顔が傾いて見えるからか、いつもとは違う表情に見える。
相変わらずきれいで端整な顔をしているけれど、さらっと流れる黒髪がとくに美しい。
「嬉しいは嬉しいの……。でも、なんだか戸惑うことのほうが多くて」
「……嬉しいなら嬉しいで笑ってればいい。翠は笑っているほうがいい」
言われた言葉をそのまま受け取ってみたけれど、どこか腑に落ちなくて先輩の顔をじっと見てしまう。
すると、すぐに視線を逸らされた。……というよりは、顔ごと背けられた。
「先輩……?」
「……ってみんなが思ってる」
と、小さく付け足す。
なるほど……。
桃華さんにも湊先生にも蒼兄も、笑ってろと言われた気がする。秋斗さんにも笑っていてほしいと言われた。
私、そんなに笑っていないのかな――。
「……え?」
「今日、ここに来たときはすごくつらそうな顔してた」
「あ……心配かけてごめんなさい」
「……秋兄と付き合うって聞いた」
「……そうなの」
「……念願叶ったり、だろ? ならもっと嬉しそうにすればいいものを」
先輩は片膝を立て、その膝を両手で抱えている。さらにはその腕に顎を預けていた。
顔が傾いて見えるからか、いつもとは違う表情に見える。
相変わらずきれいで端整な顔をしているけれど、さらっと流れる黒髪がとくに美しい。
「嬉しいは嬉しいの……。でも、なんだか戸惑うことのほうが多くて」
「……嬉しいなら嬉しいで笑ってればいい。翠は笑っているほうがいい」
言われた言葉をそのまま受け取ってみたけれど、どこか腑に落ちなくて先輩の顔をじっと見てしまう。
すると、すぐに視線を逸らされた。……というよりは、顔ごと背けられた。
「先輩……?」
「……ってみんなが思ってる」
と、小さく付け足す。
なるほど……。
桃華さんにも湊先生にも蒼兄も、笑ってろと言われた気がする。秋斗さんにも笑っていてほしいと言われた。
私、そんなに笑っていないのかな――。