光のもとでⅠ
これは正規の金額は言わないほうが良さそうだ。
「安い部屋で一泊八万だった気がする、秋斗さん、どの部屋とったんですか?」
若槻に悪気がないのはわかっている。
それに、隠したところで泊る部屋までは隠せない。
幸い、パレスホテルのサイトは会員しか閲覧できない仕組みになっているし……。
「翠葉ちゃんたちが泊るのはロイヤルスイート。栞ちゃんたちはそのひとつ下。俺のは普通のデラックスタイプ」
名称の開示で若槻はその部屋の金額がわかっただろう。
けれども、その金額までは口にしてくれるな。
そんな視線を向けると、
「それはそれはまぁまぁまぁ――」
薄ら笑みを浮かべ、棒読みでそう言いながら蒼樹の車へと乗り込んだ。
「翠葉、金額のことは考えるのやめようか」
蒼樹の提案に彼女は、「……うん、そうする」と答えた。
「安い部屋で一泊八万だった気がする、秋斗さん、どの部屋とったんですか?」
若槻に悪気がないのはわかっている。
それに、隠したところで泊る部屋までは隠せない。
幸い、パレスホテルのサイトは会員しか閲覧できない仕組みになっているし……。
「翠葉ちゃんたちが泊るのはロイヤルスイート。栞ちゃんたちはそのひとつ下。俺のは普通のデラックスタイプ」
名称の開示で若槻はその部屋の金額がわかっただろう。
けれども、その金額までは口にしてくれるな。
そんな視線を向けると、
「それはそれはまぁまぁまぁ――」
薄ら笑みを浮かべ、棒読みでそう言いながら蒼樹の車へと乗り込んだ。
「翠葉、金額のことは考えるのやめようか」
蒼樹の提案に彼女は、「……うん、そうする」と答えた。