光のもとでⅠ
 俺が運転席に座ったときにはすでに助手席の窓が開いていた。
 開けたのは彼女自身。
「秋斗様は時々薬を飲むのを忘れるので、さぼらないように見張っていてくださいね」
「はいっ」
 俺は自己管理ができないガキか……。
「翠葉ちゃん、そんな小姑相手にしなくていいから」
 笑顔で言うと、翠葉ちゃんは不思議そうな顔をした。
「……仲、悪いんですか?」
「悪くはないよ」
「秋斗様は私の上司なので、ただただ敬うばかりです」
 いい加減解放してくれ……。
 問答無用で助手席の窓を閉め、
「じゃ、行こうか」
 と車を発進させた。
 カーステから流れるのは彼女の好きな「Close to you」。
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