光のもとでⅠ
一年半前――携帯の着信を不審げな表情で出たかと思うと、血相を変えて仕事部屋を飛び出そうとした。
蒼樹の妹溺愛振りはよく知っていたが、その後の行動パターンをもすべて変えるほどの存在というのがわからない。
俺には弟がいるが、生死を彷徨う状態になればそれなりに心配はするだろう。
けれど、自分の生活を変えてまでお見舞いに行くとか、そういうことはしない気がする。
これは弟と妹の差なのだろうか。
それだけなのかそれだけじゃないのか――。
人が走ってくる気配がして振り返ると、
「お待たせっ!」
栞ちゃんが翠葉ちゃんの手を引っ張って走ってきたところだった。
たかだか数メートルだけど、走っていることに不安になる。
彼女の鼓動を知らせる携帯は少しだけ速まるものの、とくに具合が悪くなりそうな感じではなかった。
蒼樹の妹溺愛振りはよく知っていたが、その後の行動パターンをもすべて変えるほどの存在というのがわからない。
俺には弟がいるが、生死を彷徨う状態になればそれなりに心配はするだろう。
けれど、自分の生活を変えてまでお見舞いに行くとか、そういうことはしない気がする。
これは弟と妹の差なのだろうか。
それだけなのかそれだけじゃないのか――。
人が走ってくる気配がして振り返ると、
「お待たせっ!」
栞ちゃんが翠葉ちゃんの手を引っ張って走ってきたところだった。
たかだか数メートルだけど、走っていることに不安になる。
彼女の鼓動を知らせる携帯は少しだけ速まるものの、とくに具合が悪くなりそうな感じではなかった。