光のもとでⅠ
「えっ!?」
 司先輩みたいな人を振る勇気のある女の子がいるのだろうか!?
 思わず先輩を凝視してしまう。
「そんなに意外?」
 コクリと頷く。
「……でも、諦めるつもりはない。俺を見てくれるまでは待つつもり」
 それほどまでに好きなんだ……。
「その人は幸せですね。こんなにも先輩に想ってもらえて」
「……それはどうかな。好きでもない男に想われていても迷惑なだけじゃない?」
「……どうでしょう。私にはそういうのはわかりませんけど」
 先輩は小さくため息をついた。
 つらい恋なんだろうか……。
 私も少し前まではすごくつらかった。
「恋愛って楽しいだけじゃないんですね……」
「俺はまだ恋愛がどういうものかはよくわからない。でも、悪いものではないと思う」
 先輩は何をどんなふうに思っているんだろう。
 床に固定された物憂げな目をじっと見ていると、
「気持ちが報われるとか、そういう自分主体もあると思う。でも、俺はそいつが笑ってたらそれで満足みたいだ」
 そう言った先輩の顔には険しさなど一切なかった。きっと、本心なのだろう。
 そして、先輩にそんなふうに想われている女の子が少しだけ羨ましく思えた。
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