光のもとでⅠ
「先輩は心が広いですね」
「そうでもない。ただ、自分の目が届くところに対象がいればなんとなく安心なだけ」
「……そういうものですか?」
「今のところは」
そういえば、また好きな人を"対象"扱いしてるし……。
先日の静さんとの会話を思い出す。
――「たとえそういう対象がいたとして、それが俺って人間を理解してくれないと意味がないですから」。
「その人が先輩のことを理解してくれるといいですね」
先輩は一瞬目を見開き、すぐにいつもの無表情に戻る。
「……かなり鈍いんだ。だから、まだ当分先かな」
「じゃぁ、先輩はがんばらなくちゃですね」
「……それなりに。――翠、何か悩みがあればいつでも聞く」
悩みごと……。
「今のところはないと思っているんですけど、時々自分でも悩んでいることに気づいてなくて……」
「翠らしいけど、バカだな」
真顔で言われて苦笑する。
「でも、先輩のことは頼りにしています。きっとこれからも頼ることがあると思います」
「……いつでもどうぞ」
そこへノックの音がし、秋斗さんが入ってきた。
「そうでもない。ただ、自分の目が届くところに対象がいればなんとなく安心なだけ」
「……そういうものですか?」
「今のところは」
そういえば、また好きな人を"対象"扱いしてるし……。
先日の静さんとの会話を思い出す。
――「たとえそういう対象がいたとして、それが俺って人間を理解してくれないと意味がないですから」。
「その人が先輩のことを理解してくれるといいですね」
先輩は一瞬目を見開き、すぐにいつもの無表情に戻る。
「……かなり鈍いんだ。だから、まだ当分先かな」
「じゃぁ、先輩はがんばらなくちゃですね」
「……それなりに。――翠、何か悩みがあればいつでも聞く」
悩みごと……。
「今のところはないと思っているんですけど、時々自分でも悩んでいることに気づいてなくて……」
「翠らしいけど、バカだな」
真顔で言われて苦笑する。
「でも、先輩のことは頼りにしています。きっとこれからも頼ることがあると思います」
「……いつでもどうぞ」
そこへノックの音がし、秋斗さんが入ってきた。