光のもとでⅠ
 すべてのストーブの上においてあるところを見ると加湿機代わりといったところだろうか。
 それに加え、電気ポットの役目も果たす。
 ベッドはキングサイズだし、新婚やカップルには喜ばれるだろう。
 デラックスルームと然して変わらない広さではあるが、ここはここでいいかもしれない。
 今、ここに俺たちが通されているということは、今日はここへ泊まる人間がいない……?
 俺、デラックスからこっちに変更しようかな……。
 彼女は相変わらず部屋の中をじっくりと観察していた。
 水に浮かぶキャンドルを人差し指でツン、とつついてはかわいいと声をあげる。
「ここなら風も吹かないから風邪をひかないで済みそうだね」
 日差し差し込めばそれなりにあたたかい。
 ジャケットを着ていると汗をかきそうだ。
 ジャケットを脱いでからソファに座り部屋を見渡す。
 簡易的な建物の割に、粗雑な印象は受けない。
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