光のもとでⅠ
「……取り戻したいです。記憶がなくても日常生活に困ることはないけれど、少し寂しい。共有できる過去があるはずなのに、その記憶がなくて。それに、私は秋斗さんを好きになって初恋体験をしているはずなのに、その記憶がないだけで、経験値をすべて取り上げられた気がして」
そうだよね……。
不幸中の幸い――それは実生活において、高校生活において支障が出なかったことだ。
「――初恋の相手が俺かどうかは、記憶を取り戻した君に訊いてみたいな」
「……え?」
あの日の夜、ホテルで司を見かけて歩みを止めてしまうほどの衝撃を受けた理由。
君はその答えを出さずにいる。
答えを出す前に記憶を失った。
「いつか訊きたいことだから、思い出したら教えてね」
彼女は要領を得ないといった顔をしていた。
でも、これ以上のことは今はまだ話せない。
そうだよね……。
不幸中の幸い――それは実生活において、高校生活において支障が出なかったことだ。
「――初恋の相手が俺かどうかは、記憶を取り戻した君に訊いてみたいな」
「……え?」
あの日の夜、ホテルで司を見かけて歩みを止めてしまうほどの衝撃を受けた理由。
君はその答えを出さずにいる。
答えを出す前に記憶を失った。
「いつか訊きたいことだから、思い出したら教えてね」
彼女は要領を得ないといった顔をしていた。
でも、これ以上のことは今はまだ話せない。