光のもとでⅠ
 衝撃の大きさも、受け止めるものも全然違うものだろう。
 彼女は事実を受け止めることになる。
 俺は、記憶を取り戻した彼女が俺に抱く感情を受け止めなくてはいけない。
「はい、逃げません。なので、思い出せるまで、秋斗さんがどんな人なのかわかるまで時間をください」
 俺が言葉にできなかった、「逃げない」という言葉を口にして、真っ直ぐに俺を見る彼女。
 言葉は必要なかった。
 ただ、君が好きだよ、と伝えたくて笑みを返す。
 いつまでも待つよ。
 君が言ったとおりなんだ。
 周りから聞かされることと、思い出すことでは「事実」が同じだとしても、「感じ方」「受け止め方」が異なる。
 そのとき、俺は嫌われるのかもしれない。
 軽蔑されるのかもしれない。
 それでも君から離れることができない。
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