光のもとでⅠ
 撮ってはいないのか……?
 まだ紅葉し始めの被写体では気分が乗らないのか……。
 そんなことを考えていると、彼女はカメラを首にかけた状態で木に右手を添え、その場にしゃがみこんでしまった。
 痛み……?
 慌てて携帯を開くものの血圧は高くなっていない。
 強いて言いうならば、少し心拍数が上がったくらい。
 ディスプレイと彼女を交互に見ていると、彼女が携帯を取り出した。
 動作からするとメールの受信か何か……?
 やばい……。
「俺、これじゃ本当にストーカーじゃん……」
 彼女に視線を戻すと、彼女は通話中だった。
 メールを受信してから電話っていうのは――自分からかけたのか?
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