光のもとでⅠ
「急用?」
 意識を自分の携帯に戻す。
 司は用件がなければ電話などかけてこない。
『違う。……昨日、生徒会の仕事手伝ってくれたって優太から聞いたから。……ありがとう。それだけ』
 ツーツーツーツー――。
 こういうやつだってわかってるんだけど、本当にこういうやつなんだよね……。
 伝えなくちゃいけないこと、言わなくちゃいけないこと、それは口にする。
 ただ、それを口にしただけで切る。
 従弟で一番律儀だと思う。
 だけども素っ気無さもダントツ一位。
 愛想のなさにもほどがあるだろう……。
 それにしても、彼女の電話の相手は誰……?
 彼女を見れば、さっきまでの表情はどこへやら。
 今は泣きそうな顔をしている。
 すごく不安そうな――そんな顔。
 俺、また何かしたか……?
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