光のもとでⅠ
 抱きしめてキスをしたいし、それ以上のことだってしたい。
 心も身体も君を欲している。
 でも、それは君も望んでくれないと意味がない。
 俺の「欲」のみで行為に及んでも、それじゃきっと満たされない。
 行為だけでは、今までほかの女としてきたことと変わらない。
 俺に君への気持ちがあっても、それだけじゃだめなんだ。
 わかってるのに、「衝動」はやってくる。
「だから厄介なんだ。男って生き物は……」
 でも、もう君を傷つけるようなことはしないから……。
 だからどうか――俺という人間を怖がらないでほしい。
 記憶がない今、俺は彼女の優しさで守られている。
 でも、記憶が戻ったときは覚悟をしなくてはいけない。
 彼女がこのままでいるなんて思うな。
 現実はそんなに甘くはない――。
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