光のもとでⅠ
「何か」を目の前にすると、それまで意識せずできていたこともできなくなってしまう。
 あのときはついていた先生との反りも合わなかったっていうのもあるんだろうけれど……。
『でも、ここの宿泊料もタダって……』
 そういえば、ロイヤルスイートなんて上等な部屋に泊るなんて話をさっき静から聞いたばかりだった。
 普通のデラックスでも良かったんだけど、それだと兄妹三人で泊るのにひとりが簡易ベッドになってしまう。
 そんな理由からロイヤルスイートになったらしい。
 でも、そんな理由ならエグゼクティブでも良かったんじゃないの、とも思ったけれど、そこはホテル側の配慮なのだろう。
 ゆえに、それらがさらなるプレッシャーになったか……。
「父さんが静に出した条件はひとつ。翠葉に必要以上のプレッシャーを与えるな、そう言った」
『え……?』
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